一人称から見る邦ロックの歴史。ブルーハーツの凄さとは

コラム

こんにちはかさこです。

今回は日本のロックがいかにして進化を遂げて今日へと繋がったか、歌の一人称をテーマにして解説していきたいと思います。

なるべく、難しい話はなしでざっくりとしたイメージのお話になるのでおかしなところがあれば突っ込んでいただいて結構です。

一人称から見えてくるもの

日本語は一人称の表現が豊富な言語です。私、俺、僕、おいら、拙者など…多岐に渡ります。

一人称はその人の性格や立場を反映するので、一人称を分析すればどういった人々がロックを動かしていたかが見えてきます。

60年代ロックの誕生

日本へとロックが伝わったのは戦後、アメリカ軍が日本に駐在しはじめた1960年前後です。

当時はまだレコードが輸入されることはほとんどなかったため、アメリカ軍基地近くから徐々に様々なポップカルチャーが広まっていきます。

その中のひとつにロックやロカビリーがありましたが、日本の風土に適応し先行的にブームになったのはフォークソングでした。

転機はビートルズが初来日した60年台後半です。

そのころからエレキギターを持って歌う日本人グループが登場しはじめます。いわゆるグループ・サウンズと呼ばれるもので、まだロックというよりも、歌謡曲に近いものでした。

その後69年の学生運動の崩壊を契機にグループサウンズの中からロックバンドへと変貌を遂げるものが現れはじめます。

忌野清志郎が所属するRCサクセションや、のちにはっぴいえんどを結成する細野晴臣と松本隆が所属するエイプリル・フールなどがこのころです。

彼らは歌詞での一人称に「ぼく」を用いています。(RCサクセション「君が僕を知っている」、はっぴいえんど「はいからはくち」など)

彼らの歌詞はフォークソングの影響も色濃く、文学的な詞であります。この時代に漫画は一般的ではなく子供向けでした。(漫画雑誌の登場は1959年の少年マガジン、少年サンデーから)

そのため、文学を読むのは不良のすることでした。

この時代は長髪でギターを弾き、小説を読むのが不良の型だったのです。

70年代アメリカナイズ

その後70年代は裸のラリーズ、村八分、頭脳警察とその型はよりローリングストーンズをはじめとするアメリカ的なロックへと進んでいきます。

そのなかでも特記すべきは矢沢永吉が属するキャロルです。

辛気臭いと思われていたロックの文学的歌詞を取っ払い音楽を前面に出したことがわかりやすくカッコいいスタイルで、メジャーシーンを開拓し、それまで不良しか聞かなかったロックの層を女の子や子供にまで広げました。

フォークが依然として人気であった日本でビートルズ以来再びロックに流行の流れが生まれます。

彼らの一人称は俺です。

おそらくこの変化は不良文化のロックに、任侠映画の流行が合流したためだと思います。(映画 仁義なき戦いが1973年)

暴走族が社会問題になるなど不良文化が発展、過激化していくのもこの頃です。

80年代不良の隆盛

80年代にはいるとなめ猫とよばれる不良をモチーフにしたキャラクターが流行、漫画ではビーバップハイスクールが登場するなどし、不良文化が隆盛を極めました。

リーゼントにボンタン、日の丸など不良のスタイルが確立されたのもこの時代です。

音楽でいえば、横浜銀蝿、THE ROOSTERS、BOOWY、聖飢魔IIなどハードロックやメタルなども登場してきます。

不良の地位が高くなるとともにロックの市場も大きくなり、不良がモテる時代が到来します。

彼らの一人称も俺(我輩は除く笑)です。

この時代はいかにカッコつけるか(不良的に言えばいかにツッパるか)が重視されたと言えます。

その流れを変えるようにあるバンドが登場します。

THE BLUE HEARTS

皆さんもご存知でしょうブルーハーツの登場です。

GSからロックが生まれ、キャロルが辛気臭くわかりづらい歌詞の文学性を排除し音楽のかっこよさで不良を中心に受け入れられた流れの対局にいたのがTHE BLUE HEARTSでした。

THE BLUE HEARTS LIVE
日比谷野音 & 日本武道館 [DVD]

THE BLUE HEARTSの凄さ

ブルーハーツは再びロックに文学性を取り入れました。それも、誰もがわかる簡単な言葉を使って。

そして、ハードロックやメタルの影響から技術至上主義となりはじめていた時代に僅か3、4コードを繰り返すパンクを演奏したのです。

カッコいい不良が、派手に演奏するのがロックという概念をひっくり返してしまいました。

ブルーハーツの音楽は不良じゃない俺にもできるんじゃないかと思わせる力がありました。

ロックが不良のものでなくなったのはブルーハーツからです。

彼らの歌詞の一人称は「僕」であるというところにそれらが集約されています。

この後、バンドブームが巻き起され、イカすバンド天国というロックの勝ち抜き式のオーディション番組がはじまったのは彼らの影響抜きには語れないでしょう。

今現在ロックバンドの多くが一人称、僕を用いているのはブルーハーツからの系譜であると言えます。

まとめ

ロックの歴史と一人称からTHE BLUE HEARTSの凄さを読み解いていきましたがいかがでしょうか。

私自身も実際経験した時代ではないので、出来事に若干の前後や誤りがあるかもしれません。何かありましたらご報告頂けたらと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました