こんにちはかさこです。
無料で音楽を聴くことのできる違法アプリ『MusicFM』をご存知でしょうか。
現状、中高生を中心に利用者は相当な数にのぼると言われており、
instagramやTwitterで『MusicFM』のスクリーンショットを公開し、炎上したり、アーティスト側が声明を発表するなどたびたび問題に上がっています。
『MusicFM』の波及によって音楽業界の衰退も懸念されており、取り締まりに躍起になっていますが、アプリは何度も消されては上げられるイタチごっこの状態が続いています。
そこで今回は『MusicFM』がなくなれば、音楽の売り上げは増えるか?というテーマでお話したいと思います。
海賊版サイト『漫画村』の問題
音楽業界の違法アップロード問題を語る上で、参考になるのが同じく海賊版サイトが問題となった漫画業界です。
記憶に残っている方も多いかもしれません。
以前、漫画を無料で読むことができる違法サイト『漫画村』が大きな問題となりました。
こちらも中高生を中心に爆発的に流行しましたが、漫画業界も対策に乗り出し、のちに閉鎖されました。
さてその後、漫画の売り上げは増加したのでしょうか。
漫画村閉鎖後の売り上げは?
これに対し、カドカワの川上氏は「電子書籍の売り上げは増加した」という趣旨の回答をしています。
その言葉通り、漫画村閉鎖後、電子書籍の取次大手「メディアドゥホールディングス」も売上が36.5%増収したことを報告しています。
このデータのみを切り取れば漫画村閉鎖によって漫画業界の売り上げは増加したと言えます。
しかし、一方でいわゆる紙の漫画の発行部数はほとんど変化がありませんでした。
電子書籍への移り変わり?
もともと紙の漫画の売り上げは年々減少傾向にあり、一方で電子書籍の売り上げは増加傾向にありました。
音楽業界で例えるなら紙がCD、電子書籍がストリーミングに近いですね。
漫画村閉鎖によって電子書籍の売り上げが増加したのは、単に電子書籍へと読者が移るタイミングに重なったとも言えます。
もっと言うならば、漫画村によって『電子書籍』の便利さに気づいた人が多いのでは?という仮説すら立てられます。
また、漫画村閉鎖後、電子書籍売り上げで大きく数値を伸ばしたのは連載中の最新巻ではなく、長期連載の漫画だというデータもあります。
漫画村で読んでみた漫画が面白く、閉鎖後続きを電子書籍で読んだという方も存在しているのではないでしょうか。
ここまでのお話で、漫画村の閉鎖によって売り上げが増加したとは一概に言えないのではないでしょうか。
漫画村の例から音楽業界が進むべき方向
誤解されると困りますが、私は違法アップロードを推奨しているわけではありません。
ただこの例から言えるのは
『無料で読めるなら読むけどお金を払ってまで買おうとは思わない』
という層がかなりのボリュームで存在しているということです。
『MusicFM』の問題も同じことが起こると考えられます。
『無料で聴けるなら聴くけどお金を払ってまで聴こうとは思わない』
という人はかなりいると思います。
こういった「潜在顧客」をいかに取り込むかが漫画、音楽業界に共通していえるのではないでしょうか。
音源が無料の時代へ
ここから考えられるのは、今後無料で音源を配信する時代へと移り変わるのではないか。
ということです。
ストリーミング配信で大手の『Spotify』はすでに広告を視聴することで無料で利用できるサービスをはじめています。
広告を掲載してもらうスポンサー企業からお金をもらうことで利用者は無料で聴けるという仕組みです。
YouTube等の収益構造も同じですね。
無料で配信することが可能になれば、アーティストにとってもそれだけ多くの人に聴いてもらえるということになります。
聴く人が増えれば当然ライブに足を運んだり、グッズを買う層も増えるでしょう。
製作にお金を集める
もう一つは販売でお金を集めるのではなく、製作の際にお金を集める方法です。
大昔の芸術家はパトロンと呼ばれる大金持ちの支援者からお金をもらうことで活動していました。
コンテンツ購入無料化の流れが避けられないと仮定するとこのパトロンの仕組みに回帰するのが一つの方法になります。
現在ではクラウドファンディングをはじめ、インターネットを用いた集金が容易になったため、特定のパトロンではなく複数の小規模な支援者を集めることが可能となっています。
ファンは好きなアーティストの新曲が聴きたいから支援するという、より原始的な経済活動へと移り変わるかもしれません。
まとめ
Music FMが廃止になったとしても、あらたな違法アップロードが現れるいたちごっこは続くでしょう。
この問題が浮き彫りにしたのは、音楽や漫画といったコンテンツのあり方が変化する時期にあるということです。
違法アップロードをしらみつぶしにしていくのは対処療法的で根本的解決には繋がりません。
従来の考えにとらわれず、新たな形を模索していくことも必要なのではないでしょうか。



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